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書評
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《翻訳》
夏幾度も巡り来て後に


オールダス・ハックスレー
高橋 衛右 (訳)
2012.10.01
ISBN:978-4-7733-7837-5
Price 2808\
2012年12月8日 図書新聞

哲学者・思想家でもあるハックスレーの「神秘主義」に触れる

オールダス・ハックスレーという作家について、あなたは何を知っているだろうか。
彼の仕事で最も有名なのは、ディストピア小説『すばらしい新世界』である。この小説の中では、人々は知能ごとに各階級に振り分けられ(しかも、その知能レベルまでも、誕生からあらかじめ政府に決められている!)極度に管理された社会の中で常に幸せでいることを強制される。何かが上手くいかなくて憂鬱を感じた時は、政府から支給される薬『ソーマ』を飲めばたちまち元気になり、幸福感を取り戻すことができる。孤独や苦しみなどの激しい感情は絶対悪とされ、家族や恋人のように感情を激しく揺さぶる存在は排除されている。現代も色褪せないこの風刺小説で、ハックスレーは西洋社会の文明主義に警鐘を鳴らした。
しかし、『すばらしい新世界』はあくまでもハックスレーの一面でしかない。彼は多くの著名な学者を輩出した有名なハックスレー家の一員であり、自身も学者を志していたが眼の病気を患って断念。作家に転向した後は小説、旅行記、エッセイを発表し、さらに神秘主義に傾倒し、メスカリンの体験を記した『知覚の扉』によって黎明期のサイケデリック・ムーヴメントに強い影響を与えた。彼は小説家というだけではなく、哲学者であり思想家なのである。
なぜ長々とハックスレーの来歴を書き連ねたかといえば、何も知らずに表題作に手を出すのは危険だからである。この『夏幾度も巡り来て後に』はただの小説ではなく、ハックスレーの思想家としての側面が強く出ている作品だ。構造のみを乱暴に例えるならば、サドの諸作に近いものがある(作者もそれを意識しての事か、単純に善悪を論じる作品として引用したのか、作中で『ソドムの百二十日』に触れる描写がある)。不老不死を追い求める大富豪の老人と、その周りの人々が起こすシニカルな悲喜劇が、古書研究のために老人に雇われた主人公の学者の目を通して描かれる。その「物語」は研ぎ澄まされた筆致によって魅力的に描かれてはいるのだが、その端々にはハックスレーの神秘主義の萌芽が顔をのぞかせる。この小説に登場するプロプターなる学者、この男が曲者で、ことあるごとに深遠で現実離れした哲学を説いては他のキャラクターと読者を惑わせる。この哲学を要約するのは非常に難しいが、簡単に言ってしまえば「人間の行動は全てが悪である」「善なるものは、時間を超越した無窮なる場所にしかない」という考え方である。もっとも、この哲学は両手を上げて受け入れられるわけではなく、主人公の学者はプロクターに毎回やりこめられてしまうこと、プロクターの哲学に割かれる頁の多さを考えれば、プロクターは作者の化身であり、作者の主張がプロクターの口を借りて話されていることは明白である。
正直に書けば、初読の際、私はこの哲学部分に大いに面食らった。神学の知識などなく、『すばらしい新世界』の延長のような作品を期待する読者は、私と似たり寄ったりの心境に陥るに違いない。だが、これは読み方を誤ったために招いた事態であって、決してこの本自体の欠点ではない。懸かれた年代と内容を鑑みると、この本は小説家ハックスレーと思想家ハックスレーを結ぶ線上に存在する。21世紀を迎えた今、難解で広大なハックスレーの哲学に触れ、この多面的な作家に今一度思いを馳せるのも刺激的な読書となるだろう。
最後に、やや蛇足だが、ぜひとも触れておきたいことがある。ヴェネツィアを始めとした様々な映画祭で高く評価され、話題を呼んだ2009年の映画『シングルマン』で、この小説は印象的な引用をされていた。公開当時、興味を抱きつつも日本語訳が無くて悔しい思いをした方は、ぜひこの書籍を手に取ってほしい。
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《エッセー詩》
平成寸描 変人の種


山川 道子
2012.06.15
ISBN:978-4-7733-7839-9
Price 864\
2012.06.15 高島平新聞

4冊目「エッセー詩平成寸描」上梓
平成9年5月に最初の「エッセー詩 平成寸描」を出版した山川道子さんが、4冊目となる「エッセー詩 平成寸描 変人の種」をこの6月に上梓した。
「思っていることを全部書こう」と思って書いたエッセー詩は、若き日の出来事や日々の生活、家族への思いなど。また冒頭の二編は、塩野七生氏の歴史小説「ローマ人の物語」の文庫本43冊を読み書いたもの。友人や知人からは「今回は面白かったわよー」と感想を言われたそうだ。
書くことはストレス発散にもなると話す山川さんだが「この本で最後かしら」と、微笑みながら静かに呟いた。

一本道
見はるかすと
彼方へ続く下り坂のみの一本道
左右の側溝には所どころ
あの世への吸引口があって
時々吸い込まれそうになる
「こっちへ来ないか」
薄暗がりの中で
夫の明るい声が聞こえたような気がする
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《社会》
ロックンロールからロックへ

その文化変容の軌跡


福屋 利信
2012.06.15
ISBN:978-4-7733-7831-3
Price 2160\
中国新聞 2012.05.23
ロック軌跡追い新刊
イベントプロデューサーを経て40代で研究者に転じた山口大学留学センター長の福屋利信教授(60)が6月中旬、ロックをテーマに新刊を出版する。同16日には周南市で学生運動などを描いた映画「いちご白書」を上映し、トークショーを開く。
周南市出身の福屋教授は、関東や地元のロックイベントで、フリーイベントプロデューサーとして活躍していた。ロックの歌詞をより詳しく学ぶため38歳のとき大学に入学し、42歳で大学院に進学。49歳のとき米文学で博士号を取得した。 新刊は、音楽社会学の観点でロック音楽史と米国移民史の関係性を探る「ロックンロールからロックヘ その文化変容の軌跡」。 ロックと共鳴した学生運動の盛衰なども併せて385ページで紹介する。
福屋教授によると1950年代に「ティーンエージャーの怒りを代弁した」ロックンロールが、60年代にフォークと融合。野生と知性が合わさったことで「ロックンロールの言葉にならない怒りを言語化した」ロックが誕生した。
福屋教授は「ロックの死を宣告する本ではなく再生を願う本。若い人にロックの怒りや毒を取り戻してほしい」と話している。


日刊新周南 2012.06.21
周南市緑町の山口大学教授でKRYラジオのパーソナリティーとしても活躍している福屋利信さん(60)が米国のロックの歴史を音楽社会学の観点から分析、検証した「ロックンロールからロックヘ〜その文化変容の軌跡」を近代文藝社から出版した。
福屋さんは徳山工高(現徳山商工高)を出てイベントプロデューサーなどを経たあと、三十八歳の時に佛教大学の通信教育で学び、英米文学を専攻して山口大学で修士、佛教大学で博士号を取得。五十歳で宇部高専の教授となり、四年前からは山口大学で教えている。 英米文学を研究するようになったのは中学生の時にビートルズに出会ったことがきっかけで、一昨年には幻冬舎新書として「ビートルズ都市論〜リヴァプール、ハンブルグ、ロンドン、東京」を出して注目され、今回が二冊目の著作となる。「ビートルズ…」は一部が英訳もされて電子書籍として販売されており、今年三月にはイギリスで講義も受け持った。 今回の「ロックン…」は第一章の「アメリカの夢の変遷〜フロンティアからスカイラインへ」から「ロックとジーンズ」までの九章で構成。ロックンロールとロックは多くの人には同義と考えられているが、それらを生み出したアメリカの音楽史をたどると明らかな違いがわかると前置きし、一九六〇年代に芽生え、理想主義と自然主義を中心とした反体制的な価値観の総体、対抗文化の存在を指摘。ロックンロールは一九五〇年代に産業社会から受ける抑圧に対しての発散手段、ロックは六〇年代以降の反体制的な価値観などロックンロールの言葉にならない怒りを歌詞に乗せて表したものだとしている。
またさまざまなロックミュージシャンの歌詞に表れる“約束の地”から読み取れる社会的背景、心情も解説し、エルヴィス・プレスリーやボブ・ディランが登場した背景などを詳しく調べ、六〇年代から七〇年代へ、対抗文化がどうなったかを明らかにしている。
第八章のポスト対抗文化とイーグルス」では「ホテル・カリフォルニア」の歌詞を分析。ロックと対抗文化の若者たちのライフ・スタイルの象徴となったジーンズの関係についても記している。
福屋さんは権力が怖がるロックは一九七六年に幕を閉じたというが、ロックが死んだわけではなく、ロックが権力にきばをむいていた時代の再生を願って執筆したと話し「若い人にも読んで欲しい」と話している。
三八六ページのハードカバーの単行本で税込二千百円。全国の書店で販売している。福屋さんは九月にはこの本を教科書に鹿児島大学で集中講義をすることになっている。
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《随筆》
明日を勝ち取る「成功のルール」名言集


相川 信彦
2012.06.01
ISBN:978-4-7733-7829-0
Price 1620\
成功とは何か。成功はさまざまに定義されるが、本書の編集者は、「真の成功とは、自分の望む道を生き生きと前向きに生きて行くことにあるのではなかろうか」と語る。
本書では、古今東西78人の偉人・賢人が残した成功にまつわる名言とそのエピソードを簡潔に紹介している。古くは中国の思想家である孔子、日本の戦国時代に活躍した武田信玄、近年では、日清食品創業者の安藤百福やファッションデザイナーのココ・シャネルなどが取り上げられている。エピソードからは、いわゆる“成功者”とされる人たちが、必ずしも順風満帆な人生を送ったわけではないことがわかる。また、だからこそ、その人の人生を支えた言葉が、読者の心にも響いてくるのだろう。

2012.09.13 週刊経団連タイムス

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