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[更新日 2018.07.18]
『アミーリア』が紹介されました!
「日本18世紀学会年報」第33号
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 ヘンリー・フィールディングといえば、18世紀前半のイギリスを代表する小説家としてサミュエル・リチャードソンと並び称される存在である。劇作から始まり、ジャーナリズムや『トム・ジョウンズ』に代表される小説など、18世紀の文筆家らしく多彩なジャンルにわたる多くの作品を残した作家だが、この度、これまで比較的知名度の低かった二つの作品の本邦初訳が出版された。フィールディング最後の小説となった『アミーリア』(Amelia,1751)と、様々なジャンルの韻文・散文作品を集めた『ミセラニーズ』(Miscellanies,1743)である。
 『トム・ジョウンズ』や『ジョウゼフ・アンドルーズ』の喜劇的な事件や陽気で饒舌な語り手を期待した読者は、この二作品を読むと驚くことだろう。まず『アミーリア』だが、冒頭の献辞で作者が述べる「善の動機を奨励し、現在この国にはびこっている公私のきわめて目立った悪を暴露する」(3)という目的のため、主人公の元軍人ウィリアム・ブースとその妻アミーリアを標的とする悪人が次々と現れ、司法の不公平や刑務所内部の腐敗、都市文化特有の賭博、不倫、仮面舞踏会などの悪徳に巻き込まれるブース夫妻の姿を通して社会的弱者の苦難が描かれる。
 経済的・社会的な無力さゆえに苦境に陥る善良な主人公という点では共通しつつも、ブース夫妻を取り巻く悪意に満ちた社会を深刻に描くこの小説は、小説を「散文による喜劇的叙事詩」と宣言した『ジョウゼフ・アンドルーズ』や『トム・ジョウンズ』とは対照的な印象を与える。では、両者はそれほど異質なのか。(略)
土井良子氏(白百合女子大学)

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